中小企業の採用活動が本格化

大手企業の採用活動がほぼ終わったことを受けて、中小企業の活動が本格化していて、都内で開かれた合同会社説明会には多くの学生が訪れました。
ことしの採用活動は、経団連の指針で去年より2か月前倒しされて6月に解禁され、大手企業の採用活動はほぼ終わり、中小企業の採用活動が本格化しています。
流通や建設業などでは人手不足のため採用人数を増やす中小企業が多くなっていますが、大手を志向する学生が多いことから人材の獲得に苦労していると言います。
このため会場では、企業の担当者が学生たちに熱心に声をかけ、働きやすさなどをアピールしていました。
参加した女子学生は「中小企業は堅実にやっている企業が多い印象がある。もう終盤なのでいい意味で焦っていて、自分が納得できる企業に出会いたい」と話していました。
まだ採用予定数に達していないという建設会社の担当者は「人手が足りないので各社の採用が活発化している。内定をいくつか持ちながら活動を続ける学生も多く、ここ5、6年の中でいちばん厳しい状況だ」と話していました。

「売手市場」で中小企業が苦戦
ことしは、人手不足を解消しようと企業の採用意欲が高まり、学生にとって有利な「売手市場」になっていることから、中小企業は採用活動で苦戦しています。
日本商工会議所が全国の中小企業を対象に行ったアンケート調査によりますと、55.6%の企業が人手が不足していると回答しています。
業種別では、宿泊・飲食業で79.8%、介護・看護系で77.5%、運輸業で72.3%の企業がそれぞれ人手が不足していると答えています。
東京商工会議所によりますと、人手不足を受けて中小企業の間でも学生の採用人数を増やす動きが広がっていますが、大手も採用を増やしたことや学生の根強い大手志向などにより計画どおりの採用が進んでいないということです。
さらに、内定が出ても就職活動を続ける学生が例年より多い傾向にあることも採用活動を難しくさせているといいます。
東京商工会議所人材支援センターの蔵方康太郎所長は「いろいろな仕事を任せてもらえるなど、中小企業の魅力をしっかり伝えることが重要だ」と話しています。