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【突破する日本】報ステは視聴者の「圧力」に屈した ネット普及でリアルな「つっこみ」 2015.04.07 ZAKZAK

 朝日新聞は昨年、いわゆる従軍慰安婦に関する報道について、日本軍や官憲による強制連行説の根拠としてきた、吉田清治氏証言に関する一連の記事を取り消した。

謝罪は1カ月遅れ、社長退任は4カ月後というお粗末ぶりだった。
(中略)
 慰安婦問題でいえば、日本人に永久に贖罪意識を持たせ、近隣諸国に従属させるということだろう。その際、事実の検証は二の次にされる。事実より政治的意図が優先するということだ。

 朝日が32年もたって記事の取り消し、謝罪に至ったのは、近年のインターネットの普及の影響が大きい。かつては一般の人たちは表現の手段を持たなかった。記者の書いた記事を読む「読者」でしかなかった。せいぜい、投書欄に投稿するくらいだった。

 何かを調べるにしても、かつては本を読んだり、専門家に話を聞くぐらいで、一般の人たちがそこにたどり着くのは困難な場合が多かった。そのため、メディアからの下げ渡し情報が流布することになった。

それが今では、パソコンやスマートフォンである程度のことは調べられる。慰安婦の強制連行は虚構であったこと、朝日新聞が訂正も謝罪もしてないことなどが、誰の目にも明らかになる環境になった。

 こうなれば、もう逃げ回るわけには行かない。朝日が謝罪に至った背景はこんなところだろう。

 同じことが今、テレビ界にも起きている。これまで一方的な「角度をつける」番組をつくってきたが、視聴者からリアルタイムで「つっこみ」を入れられるようになっている。

 テレビ朝日系「報道ステーション」で、コメンテーターが自身の降板理由を「官邸の圧力」と一方的に決めつける発言をしたことが問題となっているが、被害妄想も甚だしいのではないか。

その人物は番組で「角度をつける」発言を繰り返してきた。それが放置されてきたことの方が問題だ。しかし、視聴者はそれを許さない。テレビ朝日は官邸ではなく、視聴者の「圧力」に屈したのだ。

 ■八木秀次(やぎ・ひでつぐ) 1962年、広島県生まれ。早大法学部卒業。第2回正論新風賞受賞。現在、麗澤大学教授。著書に『国民の思想』(産経新聞社)、『憲法改正がなぜ必要か』(PHPパブリッシング)