聖職と聖物を金儲けの道具にした罪人たち

マレボルジェの見取り図

 地獄の巡礼者ダンテとウェルギリウスは、第8圏谷マレボルジェの第3袋(ボルジャ)に進みました。その地獄は、魔術師シモン(Simon mado)から名を取った責め苦の場所でした。

その堀の形をした袋(ボルジャ)には、自分の利益のために聖職を悪用したり聖物を売買したりしたえせ聖人たちが罰を受けていました。先ずダンテは、その堀に架かった石橋に近づいたとき、次のような呪いの言葉を投げかけました。


「おお魔術師シモンよ、おお哀れなシモンの徒よ!本来は美徳と結ばれてその花嫁になるべき聖物や聖職を、おまえら盗人は金や銀と引き換えに売りひさいでいる。おまえらが第三の濠にいる以上、いまこそ宣告のラッパが高鳴ってしかるべき時だ。」

(『地獄篇』第19歌1〜7、平川祐弘訳)