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つづき

 一般のイメージでは、リリスはデビルの妻(あるいは母親)とされている-----アダムにはねつけられてからはこの役割
を演じたとのことだが、一部の者の主張するところによれば、リリスはアダムに身をまかせようとはせず、これが原因に
なって別れることになったという。しかしながらこの考えは、アダムがリリスと同衾することで最初のデーモン族、リリン
をもうけたという話と予盾する。中世における誘惑する蛇のイメージは、リリス及びエキドナ(エジプトに源をもつ古典
時代の魔物もしくはデーモン。半分は女で半分は蛇であり、ケルペロス、キメラ、怖るべき犬オルトス(ゲリュオンを見よ)、
ヘスペリデスの園を守護するドラゴン、エジプトのスフィンクス、ヒュドラといった魔物の母親であるという。エキドナの
姿が原型となって、中世に数多く誘惑する蛇のイメージが生み出されたらしい。スペンサーの『妖精女王』では、エキドナ
は百の舌と一本の牙をもつ魔物の母親になっている。)の双方に由来するものらしい。
 中世のグノーシス主義と薔薇十字思想の伝統におけるリリスは、いささか異なった類のものである。これらの伝統が主張
するところによれば、女の創造が意図されたものではなく、アダム自身の心から女が生まれ、アダムが女に霊を吹き込んだ
のだという。これが、エバ=リリス(ここはちがう、正確にはエバは2番目の妻、天使名Iuuart:堕天使)と呼ばれる最初の
エバであり、12宮の処女宮・天蝎宮の印に結び付けられ、さらに(首尾一貫しているわけではないものの)物質への降下、
人間の堕落に結び付けられた。したがって顕密双方の伝統において、アダムはエバと結婚する前に、リリスによって最初の
デビルどもをもうけたのである。
 「デーモン」の恒星アルゴルも、ヘブライの占星術師たちによってリリスと呼ばれた(ゴルゴーンをみよ)。ゲーテの
『ファウスト』における興味深いヴァルプルギスの夜の場面で、リリスは「アダムの最初の妻」と呼ばれ、メフィストフェ
レスがリリスの魔法に注意しろとファウストに警告する。ダンテ・ゲイブリアル・ロセッティの詩『イーデン・バウアー』
では、リリスの伝統的な役割が変更されている。リリスは自分にとってかわったエバに恨みを晴らせるよう、楽園で誘惑が
おこなわれているあいだ、自分の体を使うように蛇を説きつけるのである。現代の一部の占星術師はリリスという仮想の惑
星を認め、これが「暗い月」であるとしている。ちなみにリリン(Lilin:堕天使)については、アダムとリリスの同衾から
生まれた種族を表すヘブライ語の名称。リリンが最初のデーモンと考えられた。(参考文献:悪魔の事典)
 ちなみにリリスはオリーブから創造された人間。だから、見た目は植物っぽいスラブ人。