>>155 日本正教会では「被昇天」とはいわないようです。

正教会の祭と暦 クリメント北原史門著 ユーラシア文庫2 群像社
第9章 十二大祭とその他の主な祭
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◎生神女就寝祭(8月15日/8月28日)
生神女マリヤの就寝(永眠)を記憶する祭です。
聖書に生神女マリヤの永眠についての記述はなく、
その様子は伝承の範疇になります。
その一部を紹介します。
 天軍首ガウリイル(ガブリエル、生神女福音の際にも現れた天使)から、
三日後に永眠
(「永遠の眠り」という意味ではなく、復活するまでの一時的な眠りを意味します。)
することを
告げられた生神女マリヤは、
天国でイイススと共に暮らせる日を待ち望んでいたので大変喜び、
近しい人たちに三日後の自らの死と別れを告げました。
悲しむ人々にむしろ喜ぶよう慰め、生神女は永眠しました。
聖使徒フォマ(トマス)だけがその永眠に間に合わず、
フォマはそのことを悲しみました。
人々がフォマのために墓を開けてみると、既にそこに身体はありませんでした。
生神女の身体は天に移され、天からは生神女の声が聞こえ、
人々はこれに応えて「至聖なる生神女よ我等を救い給え」と叫んだ−−−
以上が伝承の概略です。
ローマ・カトリック教会では同日に、聖母マリヤは通常の死を免れて
霊魂も肉体もともに天に上げられたとして「聖母の被昇天」を祝いますが、
正教会での生神女就寝祭は現実の死(就寝・永眠)であったことが特に言及されます。
したがって正教会の
p94
生神女就寝聖堂、ないし生神女就寝大聖堂(ウスペンスキー・サボール)に、
「聖母被昇天聖堂」といった訳語を当て嵌めるのは適切ではありません。