碧巌録(へきがんろく)  第63則  南泉斬猫(なんぜん ざんみょう)

本則

南泉一日(あるひ)、東西(とうざい)の両堂(りょうどう)、猫児(みょうじ)を争(あらそ)う。

南泉見てついに提起(ていき)して云(いわ)く、「道(い)い得ば即ち斬らじ。」

衆(修行僧たち)、対(こたえ)なし。
泉、猫児を斬って両段(りょうだん)となす。



南泉:南泉普願(709〜788)。唐代の禅者。馬祖道一(709〜788)の法嗣。百丈懐海、西堂智蔵とともに馬祖門下の三大師の一人。法系:六祖慧能→南嶽懐譲→馬祖道→南泉普願

東西の両堂、猫児を争う:東堂西堂の僧堂の僧達が互いに猫をめぐって論争した。

本則

ある日南泉普願禅師門下の雲水達が東西の二堂に分かれて、猫のことで論争した。

南泉もとうとう見かね、その猫の首っ玉をつかまえ提げて言った、「禅の究極のところを言え。言うことができたらこの猫は斬らない。」

この問いに修行僧達は誰も答えることができなかった。
南泉は遂に猫を真ッ二つに斬ってしまった。

南泉一日、東西の両堂、猫児を争う。
南泉見て遂に提起して云く、道(い)い得ば即ち斬らじ。
衆、対(こたえ)なし。泉、猫児を斬って両段となす。

→ 可愛い子猫が二匹であったら、取り合いにはならなかった。
  では、一匹の子猫を真っ二つに切り分けて与えた。