「閑さや岩にしみ入る蝉の声」

実はこの詩には論争があった。

何蝉かという論争だ。

歌人の茂吉は芭蕉が詠んだこの句の蝉をアブラゼミと断定したが文人が集う席でニイニイゼミではないかとの声が上がった。

多様な側面から検証した結果
後にニイニイゼミであったと結論付け加られた。

どうでもいいと思わんかね?

蝉は人それぞれの内で鳴いているのだ。

岩にしみ入る蝉の声は静けさそのものなのだよ。

彼らには何も届かなかったのだろう。