悟りとは、俗っぽい言葉で言えば、「無常だ」と納得してしまうことです。
普通の納得とは違います。修行してとことん観察して、徹底的に自分の身体の現象、心の現象を観続けるのです 。
「それでも生きていきたい」という自分の心の渇愛を体験して、「なんで生きていきたいか」と観続けて、あるところで、「もう諦めよう。無常だから」と、何かすごい納得が生まれるのです。
それは予想しない瞬間に、パッと瞬時に生まれる心なのです。

悟りの心が生まれる前、人はだいたい、徹底的に落ち込んでいます。
普通の人間には堪えられない、極度の落ち込みに陥るのです。
だから長い間修行をしてしっかりした人間になって、性格が力強いものになって、人間としての基本ができたところで、本当のものが見えてくるのです。
恐ろしいものを見る前には、「恐ろしいものを見ても大丈夫」と言えるだけの精神的な準備が必要なのです 。

(スマナサーラ師)