「大乗仏教の祖」である竜樹の「中論」によれば、「空」とは、「もろもろの存在の構成原理で
ある相互依存性と関係性」。確固とした実在であるが、「相互依存性と関係性という抽象概念
により構成されているが故に、執着すべき自性がない」ということ。「世間のすべての慣習」と
「物理現象」は、無条件の前提とする。現代の量子力学や言語学さえも先取りしている。
「如来の本性は、それがそのまま生物の本性(即ち生命)」、と決める。釈迦の無や縁起(一
方向的因果関係)は、中論第一章で明示的に否定している。
竜樹は、古今東西並ぶ者のない天才思想家。