近頃の修行者の十中に八九は、仏道、ひとつも疑いはござらぬなどと、遠慮会釈もなく
大口を叩く者が多いのだ

一則の考案を出せば、拳骨を突き出してみたり一句を吐いたりするが、
こんな大胆なやり口を、どこの老師に習ってきたのであろうか

案の定、三、四年もわめき歩いていたかと思えば、やがてどこに消えたかも音沙汰なくなる

こういう手合いがまことに多いのだ
まったく虫歯の薬にもならんニセ悟りではある

実に残念なことではないか
らちもない妄解を覚えて、真面目に学道している人を見ては嘲って大笑しているのだ

うぬらのごとき頑空無記のカス見解など、
四五日まゆをしかめていれば小僧でも気のつくことであろうに

かかる仏祖をも手を持て余すような厄介者になって、
最初のうちは信ずるものも少しはあるが、そのうちに正体があらわれ、

真面目な在家にも及ばないことが分って、とうとう周りからも忌み嫌われ、
結局は行方不明になって行くのである