「信仰とは何でしょうか」

「信仰をもつ者にはそれを定義することができない。信仰をもたぬ者の定義づけには、恩寵を失った
ものの重い影がかぶさっています。それを語ることが信仰者にはできぬ。不信者には宥されぬとい
えましょう。予言者が語るものは、じつはいつも信仰の支点に限られていて、信仰それ自体を語るこ
とはないのです」

「信仰は、彼らの口から語り出て、しかも自らについて口を閉ざしているというわけですね」

「そうです。そういうことです」