人類における神概念がいかにして発生したかを考えて見よう。
文明の利器など何一つなく、厳しい自然と闘いながらひたすら生存努力を
続けていた古代人たちは、生存を助け、又は妨げる自然現象を引き起こす
不可知な力を、便宜上、「神々」と呼び、感謝し、又は憎悪したのである。
あくまで、彼らの生存のための手段であり、彼らなりの、生存のための
最大限の「現実性、合理性、科学性」の表れであり、それは彼らにとっては、
現代の「科学」と同一だった。
科学が、宗教のいかなる奇跡も及ばない驚異的な発達を遂げた現代においては、
自然現象の原因は、ほとんどすべて解明され、古代人の「神々」は消滅したの
である。
現代の創唱宗教における神概念は、例外なく、開祖の精神病の症状としての
「観念過剰」から発生し、古代人の神概念が本来的に有した「生存」との関係を
断ち切った「妄想」となったのである。