ゼウス=アヌの娘デメーテルがギリシャにおけるエンキの妻ニンフルサグ、その息子バアル(マルドゥーク)の妻アナト、タニトの同一存在で、
デメーテルを奉るエレウシス島の密儀というのが全ての禁欲宗教の源流になってるっぽい。
ミトラがカルタゴのバアル・ハモンと習合した時に、タニトも一緒に習合してるから、
おそらくミトラ教の禁欲宗教としての側面もバアルだけでなく妻であり妹でもあるアナト=タニト=ニンフルサグの属性が表に出たものだね。
ギリシャ人が統治したプトレマイオス朝エジプトにおいてはセラピス教がエレウシス形式の禁欲宗教として誕生している。
セラピスという名前の由来はオシリス-アピス(Aser-Hapi)と言われているけど、実はバビロンにおけるエンキの呼び名が
「セラプシ (Serapsi)」(深淵の王)で、バビロンからの影響も指摘されている。これは元々セラピス神が生まれた経緯が
エジプト神官の間にヒクソス王朝の時代に持ち込まれたセト=バアル神への信仰が根強く残っていて、それらの信徒に親和性のある
習合神を作ろう、といものだったから不思議なことではないね。
初期キリスト教の信仰形態は同じエレウシスの禁欲宗教でもミトラ教よりセラピス教に近くて、
セラピス教徒を自称する人々が実際はキリスト教を信仰したり、その逆も多かったらしい。