【公教要理より引用】  第八課 人

50* 人とは何でありますか。
  人とは、肉身と霊魂とを合わせたものであります。
   「天主は土壌(つち)の塵にて人を形造り生気をその鼻に吹きいれ給いき、かくて”人”は生けるものとなりぬ」(創 2:7)
   霊魂の存在は道理を推究(おしきわ)めても、之を知ることが出来ます。即ち人の有(も)っている智慧と自由意志との(はたらき)は、
   精神的な働でありますから、肉身の働をもって之を説明することができません。
   それ故、どうしてもその外(ほか)に、精神的な霊魂の存在することは明かであります。

51* 霊魂とは何でありますか。
  霊魂とは天主にかたどられた霊で、人の生命と精神的働との源であります。
   「われらの像(すがた)のごとくわれらに象(かたど)りて人を造らん」(創 1:26, 同 2:7)(智 2:23)

52 霊魂は、人の死によって肉身とともになくなるものでありますか。
 霊魂は始こそありますが、人の死によって、肉身とともになくなるものではありません。
   霊魂がなくならない理由は次の如くであります。
   一、霊魂は複合体でないから、分解することがありません。
   二、このように、不滅の性質に造られた霊魂を、天主が滅(ほろぼ)し給うのは、その叡知に背くことになります。
   三、人の行(おこない)の善悪は、此の世では完全に報いられませんから、霊魂が不滅でないと、天主の正義に背くことになります。
   四、人の生来の正しい希望である完全な幸福は、此の世では得られませんから、霊魂が不滅でないと、天主の全善に背くことになります。

53* 天主はどのようにして、最初の人をおつくりになりましたか。
  天主は土をもって人の身体(からだ)をつくり、之に霊魂を合せて、人祖をつくり給うたのであります。
   人間は進化によって、他の動物から生じたものではありません。なぜならば、人間の智慧の働を他の動物の感覚作用とくらべると、
   単に程度の上にとどまらず、そこに全く本質上の相違があるからであります。

(つづく)