十牛図の続き;(文献解説ではなく私見解。)

6.入鄽垂手(この段階は重要)
 その1
 先に説明したように、この世界は諸行無常であり、全ては
千変万化するとして、身心脱落し、ようやく大悟に至った。
 昨日(瞬間前)の世界と明日(瞬間後)の世界は、
思考の産物であり虚仮であると。
 そのとおりである。
 しかしながら、諸行無常とは言え、道路、建物、山野など、
明日の世界も今日の世界と類似していることが殆どである。
 そこで、一旦は虚仮として無視した、思考、知性、知識等
の世界が再び重要なものとして浮上してくる。
 昨日、今日の世界についての記憶内容が、明日の世界と
類似しているということは、その記憶内容に利用価値がある
ということである。
 過去何度も、夏から秋にかけて台風が来たという記憶があれば、
次の年に対策が取れることになる。
 虚仮であっても価値が無いというわけではなく、
軽視してはならぬ。             (続く)(^-^)