悟成就するが故に菩薩は法縛に与らず
法脱をも求めず
生死をも厭わず涅槃をも愛せず持戒をも敬せず毀壊をも憎まず九習をも重んぜず初学をも軽んぜず
何となれば一切は悟りなるが故に
喩えば眼光の前境を暁了するにその光円満にして憎愛なきが如しこれ光体無二なればなり
修もなく成就もなく円覚普く照らして寂滅無二なり
離せず即せず縛もなく脱もなし
何となれば衆生は本来成仏せるものなればなり
故に生死と涅槃とは昨夢に異ならず生死と涅槃とは昨夢の如くなりを以て起もなく滅もなく来もなく去もなし

『円覚経』