>>274
相手が男であれ女であれ、 僧であれ在家であれ、人を見てはみな礼拝し賛嘆してこう言ったからである。
『みなさん、わたしはあなたがたを敬います。 軽んじません。なぜなら、あなたがたは菩薩の道を行じて、仏となるからです』
こうしてこの菩薩は、経典を読誦することなく、 もっぱら人びとを礼拝するばかりであった。会う人ごとにこのように言うので、人々は怒り出し、しまいには棒で打ち石を投げる 有様であった。
しかしこの菩薩は怒ることなく、逃げ出して遠くに行くと振り返って、
『あなたがたを敬います。軽んじません。 あなたがたは仏になります』
と遠くから大きな声で言うのであった。こうして人びとはこの菩薩を常不軽と呼んだのである。