世界中の軍事機密で確認したところ、
宇宙人の探査機は二カ所から地球に届いている。

それは、ワープ装置の改良者である犬塚拓馬が確認したところ、
「ソラリスの海」のような液体生命体であり、
もうひとつは、ザミャーチンの「われら」にあるような無機物の快楽の結晶、人工知能の機械生命体だった。

本当の地球はもうぶっ壊され、模型地球をプラスチックのボールの中で宇宙人から隠れながら、
素粒子統計学を行い、新しい素粒子が発見されるたびに、既知宇宙を作り直して、プラスチックのボールに隠れて人工宇宙を作成している。
プラスチックボールの中とはいえ、故郷の宇宙の構成要素によってできていることは確かなので、素粒子物理学でどんどん精密な宇宙を調べるのは可能である。
大事なのは、宇宙への外への旅ではなく(どうせプラスチックボールの中の模型宇宙なので)、
宇宙の最小の根源粒子の探索である。
宇宙の構成要素が地球より大きなものによってできいるという場合、素粒子物理学重視のわたしの作戦はおかしいことになる。

いつか、故郷の宇宙に帰り、宇宙人たちと仲良くして、かつての地球を復元したい。
まだ、地球の中心にもたどりついていないこの模型地球の復元が本当の地球の復元ではないのは確実である。

スターリングの「巣」という宇宙生命体は、実在するが、犬塚拓馬が作った地球人の宇宙拠点であり、
それが、プラスチックボールの中の既知宇宙にあるのか、故郷の宇宙にあるのかわからない。