十牛図の続き;(文献解説ではなく私見解。)
5.返本還源(一円相が消えて自然風景だけとなっている)
その1 大悟したために捕らわれてしまっていた水晶宮が
消え去り、黄金の鎖が解けた段階である。大悟徹底である。
 今ここの軛(一円相)が消え去るので、「今ここ」から
自由になり動き出せる。
 透明な軛が残る人牛倶忘の段階では、動かざること山の
如しが尊く思えてしまう。
 しかし、この返本還源の段階では、動きが自在な
真空妙用の世界である。臨済の全体作用の世界である。
ここに到れば真空切り(譬え)が可能になる。
「始隨芳草去。又逐落花回」である。  (続く) (^-^)