今日もまた穏やかな時が流れておる

悟りを開いた和智は、この世のすべてが実態性においては無だと知りつつ
退屈しのぎに過去に凡夫だった頃の夢や望みを思い起こしては
その儚さと迷いの過程を懐かしむのぢゃ。和智に関わる凡夫や犬猫
愛情や絆を想いつつ、責務や労務に励み、ときには怒り憤慨し殺意も抱く
それらはみな、ただの反応なのぢゃ。誰一人としてこの世に生きてなどおらん
時には凡夫の想い想いのなかで、辛いことや、楽しいこともあるぢゃろう
心がその身に重苦しく感じることも度々あるぢゃろう
しかしそれらすべての想いは、儚く消えゆくものなのぢゃ
それでも悟りの真の眼を覚ませば、孤独などこの世には無いのぢゃ
初めから皆んなここにおって、皆んな色々に姿形を変えて有るだけなのぢゃ

お主らが今日食べた物は、食べる前は生体機能を有しており動いておったが?
もうじきお主らの血肉になりよる。和智らかて、いつか喰われるやもしれん
喰われんでも、生体機能が止まれば土に還り巡り巡ってまた生まれるかもしれん

ただ、それだけの事なのぢゃ。孤独に苛み、心煽られ、齷齪と迷い続ける者らよ
あるいは既に悟ったが、問答を避けて公言せずに日々の暮らしを送る者よ
初めから皆んなここにおるぞ。ずっと離れることもないぞ (-人-)