新宗教と古史古伝・・・裏の伝承を吸引する霊的イマジネーションの世界

かつて、独自の異質、かつ強烈な神話体系故に、ときの官権から大弾圧を受けなければならなかった「大本」。
出口ナオを開祖とするこの宗派について、これまで多くが語られてきた。が、その底流には、いまだ錯綜した
不可解な謎の部分が存在している。そしてそこには『古事記』『日本書紀』といった、いわば表の歴史伝承に
対してある、裏の伝承・古史古伝にあい通じて見えるところがあるという。

『武内文献』『富士古文献』『九鬼文献』・・・・。その符号の意味するものは何? しかし、謎は謎を呼ぶ。
これらの文献に照合させたとき『大本』のジグソー・パズルは、またひとつ、その全貌を複雑にしていくのだった・・・・
我が国には、記紀やその他の公認された歴史伝承とは異質の伝承を秘めた文献がいくつも存在する。『武内文献』
『富士古文献』『上記』など、これらの古史古伝と呼ばれる文献は、まともな歴史学の対象としてはついぞ論じら
れたことがない。

だが、それが文字通り古史であり古伝であるかどうか、あるいはなんらかの歴史的事実が反映されたものである
か否かということはさておいても、これらの文献を単純な捏造の所産と考えるにはあまりにも事態は複雑である。
これらの文献には、いずれもその出現過程暖味さや著しい混乱の形跡、複数の情報ソースの習合、さらに特定の
強固な観念の繰り返しと増幅などが認められる。そして、一方で相互に矛盾した世界像を描きながら、どこかで
ジグソー・パズルのように合わさるところがある。

なによりも注目すべきことは、これらの古史古伝の多くが、大本となんらかの関係を保有していたことである。