無門関・第6則 世尊拈花(せそん はなをねんず)

釈迦牟尼世尊(しゃかむに せそん)が、昔、霊鷲山(りょうずせん)で説法された時、一本の花を手にして聴衆の前に示された。
すると、大衆(だいしゅ)多くの仏僧の集まり、また僧侶のこと」 は皆黙っているだけであったが、ただ迦葉(かよう)尊者(そんじゃ)だけがニコリと微笑(ほほえ)んだ。
そこで世尊は言われた。
「私には正しい真理を観る眼(正法眼蔵・ショウホウゲンゾウ) 説き尽くせない覚(さと)りの心(涅槃妙心・ネハンミョウシン) 無相である不可思議な真実在(実相無相・ジッソウムソウ) という深く秘められた法門がある。 
これを言葉や文字にせず、教えとしてでもなく、別の伝え方で迦葉尊者に委(ゆだ)ねよう。」以心伝心

金剛般若経の論法は、空を語る。
Aは、Aではない、故に、Aは、Aである。