インド・ユダヤ人の光と闇―ザビエルと異端審問・離散とカースト 単行本 - 2005/7/15
https://www.amazon.co.jp/dp/4788509547/
カスタマーレビュー

これまでの世界史の見方が一変した。
 「アジアにキリスト教を広め、布教の苦難に耐え最後は中国布教を果たさず生涯を閉じた」という
 「聖人」あるいは「殉教者」というイメージでのみ語られてきたザビエルが実は、
 アジア(インド西岸のゴア)に異端審問を持ち込み、多数の改宗キリスト教徒(元ユダヤ教徒=マラーノ)を
 火炙りの刑に追いやった張本人であるという事実に私は驚いた。
 ザビエルがポルトガル王ジョアン3世に宛てた手紙は動かぬ証拠としてある。
 最近、南インド(ゴアやコーチンを含め)を旅してきた者の一人として、
 旅で見た光景や史跡の意味をもう一度問い直さねばならなくなった。
 本書に紹介されている現在のゴア博物館の館長シロットゥカル氏の
 「多くの人々の苦しみと残酷な死の原因となる非人間的な提言を行った」
 というザビエル批判の言葉は従来のザビエル観だけではなく、従来の歴史の見方そのものの変更を迫るものだ。
 コーチンの街で訪ねたユダヤ教会(シナゴーグ)やゴアで訪れたボンジェズ教会の周囲で、
 かつてポルトガルによって何が行われたのか?シロットウカル氏が力説する
 「ナチの蛮行をも凌ぐ異端審問所の犯罪行為については、もっと調査研究が行われてしかるべきである」
 という提言は、歴史を学び、南インドを訪れた者にとって真正面から受け止めねばならぬものである。

聖人ザビエルのもう一つの顔
 戦国時代の日本へ渡ったフランシスコ・ザビエルは、日本にキリスト教とヨーロッパ文明を伝えた聖人として尊敬されています。
 日本では司馬遼太郎を始め多くの人々から高く評価されています。しかし、本書はそのザビエルの知られざる顔を明らかにしました。
 それは日本に渡る前、インドのゴアで布教したザビエルは、スペイン・ポルトガルから追放されこの地に移住したユダヤ人たちを、「栄光の火で焼く」ことを提言したことです。
 すなわち、ユダヤ人を火あぶりの刑で皆殺しにせよ、と言ったのです。彼の提言は実行され、多くのユダヤ人が焼き殺されました。