翁長氏の米軍・日本政府への批判は、沖縄を危険にさらす。

歴史的に、アジアにいた米軍が去った地域には、その後、必ずと言っていいほど中国軍が侵出してきた。
70年代のベトナム(パラセル[西沙]諸島)や、90年代のフィリピン(スプラトリー[南沙]諸島)を振り返っても分かるように、現在、両諸島を含む南シナ海には、中国が軍事施設を完成させている。


中国の狙いは「戦わずして、台湾を侵略」
また、中国の脅威が、台湾を追い詰めている。

5月下旬、西アフリカのブルキナファソが、台湾との国交断絶を発表した。同国は昨年、中国の金銭的な支援を断り、「台湾を裏切ることはしない」としていたにもかかわらず、100年以上続いた関係に終止符を打った。

5月1日には、中米のドミニカ共和国が、中国との国交を樹立し、台湾との国交を断絶したばかり。ブルキナファソの断交によって、台湾と国交がある国は18カ国と最小になっている。

この背景には、「台湾は中国の一部」と主張する中国が、台湾と国交を結ぶ国に経済支援などをちらつかせつつ、「中国と台湾のどちらを取るのか」と踏み絵を踏ませていることが指摘されている。

中国の目的は、国際社会から台湾を孤立させ、経済的にも干し上げ、台湾が自ら白旗を上げる、つまり「戦わずして、台湾を侵略する」ことである。


国際社会が警戒すべきは「習近平・ファースト」
地図を見ても分かるが、台湾と沖縄は非常に近い。台湾が中国に取られてしまえば、沖縄が取られるのは時間の問題になる。その意味で、台湾と日本は「運命共同体」と言える。

もちろん、この共同体には、世界一の軍事力を誇るアメリカの関与が欠かせない。

トランプ米政権はここ数カ月の間に、アメリカと台湾の高官が相互訪問できる「台湾旅行法」を成立させたり、大使館に相当する新しい事務所を台北に開設したりと、台湾を中国から守ろうとする動きを加速させている。

トランプ政権の中国などに対する経済制裁を「自国主義」などと批判する向きもあるが、「トランプ革命」の本質は、「軍事独裁国家・中国の兵糧攻め」だ。

いま国際社会が警戒すべきは、習近平国家主席に権力を集中させている「習近平・ファースト」の野望を抱く中国である。