若き日のムハンマドは、叔父アブー・ターリブにその娘ウンム・ハニを妻にする許可を求めたが、
アブー・ターリブはムハンマドが財産を持たないことを理由に娘への求婚を拒否した。

年上妻ハディージャと叔父アブー・ターリブが死んだことでようやくウンム・ハニへの思いを遂げる機会が訪れた。
妻が死んで間もない時期に、ウンム・ハニ宅に泊まる不貞行為を咎められたムハンマドは苦し紛れの言い訳で、夜の旅と昇天という文学傑作を生みだした。
ムハンマドは、己が女性に対して潔癖であることを示すために不貞な女性が地獄の業火で焼かれるのを見たと主張した。
こののちムハンマドは何人もの妻を持つようになるが、このころはまだハディージャへの後ろめたさがあったのであろう。