巨麿が「竹内文書」を本にまとめて発行したことは一度もない。

「竹内文献」の断片が、酒井勝軍の著した解説書『神代秘史百話』と『モーセの裏十戒/太古日本のピラミッド』
にあり、山根キクの『光は東方より』と『キリストは日本で死んでいる』に引用されている程度である。それさえ、
焚書同様の発禁処分で消え失せ、『神代秘史百話』を収録した『竹内文献資料集成』(旧題『神代秘史資料集成』)が、
タイトルを変えながら復刻されているに過ぎない。

そうした中、『皇祖皇太神宮』の第67代管長だった竹内義宮氏が『神代の万国史』を公表し、それまでは断片しか
なかった竹内文献の全文を一冊にまとめ上げたのである。これは「竹内文献の決定版」といえるだろう。

しかし、「皇祖皇太神宮側は、それが竹内文献のすべててはない」としている。
巨麿が公表したのは「天之巻」の一部しか過ぎず、「地之巻」と「人之巻」がまるまる残っていると断言している。
それらも時期を見て徐々に公表する意向だというから、竹内文献のファンにしてみれば、大いに期待していいので
はないだろうか。

逆に言えば、『神代の万国史』でさえ、巨麿が公表した「竹内文献」、「天之巻」を網羅しても、全体の一部に過
ぎないということだ。巨麿が公表した「竹内文献」の原書は、裁判資料として多数の御神宝とともに水戸地方裁判
所に提出した後、東京大空襲に遭遇して灰燼と化した以上、「皇祖皇太神宮」が保管する「竹内文献の原書」は、
巨麿が公表した部分が欠落しているはずである。

その後に編纂された『神代の万国史』にまとめられているということは、「巨麿の写し」が存在したことになる。
もちろん、「皇祖皇太神宮」は、勝軍やキクの本が発禁処分になる前に必要な冊数を保管していたはずで、そうなれば
再販も容易だったはずだ。