碧巌録(へきがんろく) 第45則? 趙州万法帰一(じょうしゅう ばんぽう きいつ)

垂示(すいじ)

道(い)わんと要(ほっ)すれば便(すなわ)ち道(い)う。
世を挙げて双(なら)びなく、行ずべきに当たっては即ち行じて、全機譲らず。
撃石火の如く、閃電光に似たり。
疾焔過風(しつえんかふう)、奔流度刃(ほんりゅうどじん)、向上の鉗鎚(けんつい)を拈起(ふりあ)げられて、未だ免れず鋒(ほこさき)を亡(うしな)い舌を結ぶことを。
一線道を放って、試みに挙し看ん。
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注:
疾焔過風(しつえんかふう):対応の厳しさ、鋭さの喩え。
向上の鉗鎚(けんつい)を拈起(ふりあ)げられて、未だ免れず鋒(ほこさき)を亡(うしな)い舌を結ぶことを:高次元の鉗鎚(けんつい)を振り上げられて、気勢を殺がれて沈黙するしかない。  
一線道を放つ:さりげないヒントを与えてやる。
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垂示の現代語訳
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ものを言う必要がある時はそのものズバリと言う。
その言語の絶妙なことは世界中に比べるものがない。
また物事を実行する必要がある時は思った通りに断固として実行して、全機大用を発揮する。
その言語応接の素晴らしさは電光石火のように素早い。
それは疾焔過風(しつえんかふう)、奔流度刃(ほんりゅうどじん)のようだと言っても良いだろう。
このような達人の前に出ると、高次元の鉗鎚(けんつい)を振り上げられて、気勢を殺がれて沈黙するしかないだろう。 
それだけでは取っ掛かりがない。さりげないヒントを与えるので、それによって参究しなさい。