碧巌録(へきがんろく) 第30則?   趙州大蘿葡頭 (じょうしゅう だい らふとう)

本則

久参の修行僧、趙州に問う、「承(うけたまわ)り聞く、和尚親(した)しく南泉(なんぜん)に見(まみ)ゆと。是なりや否や?」。
州云く、「鎮州(ちんしゅう)に大蘿葡頭(らふとう)を出(いだ)す」。
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注:
蘿葡頭(らふとう):大根。
趙州:趙州従シン禅師(778〜897)。趙州城内の観音院に住した。 南泉普願禅師に嗣法した。趙州の禅は唇から後光がさすようだとされ、「趙州の口唇皮禅(くしんぴぜん)」と呼ばれる。
法系:六祖慧能→南嶽懐譲→馬祖道一 →南泉普願 →趙州従シン
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本則:
ある久参の僧が、趙州に聞いた、「和尚は南泉禅師に禅を学んだと承り聞きますが、本当でしょうか?」。
趙州は言った、「鎮州に大きな大根がとれるわい」。

⇒ 日本で大きな大根と言えば、鹿児島産の桜島大根 だろう。
  火山灰が堆積する畑は、排水が良く、大根栽培に向いている、と言う。
  鎮州の大地も大きな大根を栽培するには、適地なのだろう。
  南泉(なんぜん)斬描(ざんみょう)の南泉(なんぜん)和尚が、お師家さまである趙州和尚に禅をまなんだと聞きますが、そうですか、違いますか。
  人は、出身地を聞かれることが多い。
  田舎は、何処ですか。
  鎮州です。
  その鎮州の大地は、とても大きな大根を産します。

大きくなくても、大きくても、大根は、大根であり、変わる事は無い。
大きな、と言うとき、尊敬の念が込められている、のだろう。
大根が大きく育つには、栽培の諸条件があるし、自然環境もまた、最適地である。
大根を支える、畑の土、それを支える山河、山河を支える地球、
地球を支える銀河、銀河を支える宇宙。
一本の大根は、宇宙うぇおつらぬく一本の大根である、わたくし、である。