★輪廻のこと
結局のところ、輪廻をするか否かに客観的な証拠はない。
でも、輪廻は社会を幸福にしない概念だと思った。
悟りを開いたひとは、もう人間界にやってこないから、
人間社会の改善には寄与しない。
悟りは個人を幸福にはするが、残された人間社会は不幸なままである。
輪廻の思想だと、修行の場なんだから、不幸で当然ということになる。

実際のところ、不幸は本人に原因があるとは限らず、社会の場合もある。
「本人が悟りをひらけば良い」「過去世の報いの場合もある」というのは
極端な自己責任論であり、誤った心理主義だ。
社会のほうを改善しよう、というモチベーションを削ぐ。

仮に輪廻を肯定するにしても、
輪廻を逃れるためために功徳を積むというより、
人間は自分が亡き後の社会が、
より幸福になるよう努力をするという発想のほうが健全だと思う。
(続く)