碧巌録(へきがんろく) 第65則? 外道問仏 (げどう もんぶつ)
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挙(こ)す

外道(げどう)、仏(ほとけ)に問(と)う、「有言(ことば)を問わず、無言(ちんもく)を問わず?」。
世尊、良久(ろうきゅう、沈黙、無言)す。
外道讃嘆して云く、「世尊大慈大悲、わが迷雲を開いて、われをして得入(とくにゅう)せしむ」。
外道去ってのち、阿難(アーナンダ)、仏に問う、「外道何の所証あってか、しかも得入という」。
仏云く、「世の良馬の鞭影(べんねい、むちのかげ)を見て行くが如し」。
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本則
一人の外道(異教徒)が仏に尋ねた、「言葉でもなく、沈黙でもないものとは何ですか?」
世尊はこの問いに対して、しばらく無言で坐っていた。
これを見て外道は大いに讃嘆して云った、「世尊の大慈大悲によって私の迷いの雲は晴れ、悟りの世界に入る手がかりを掴むことができました」。
外道が去った後、阿難はブッダに尋ねた、「あの外道は何の証拠があって悟ったと言ったのですか?」。
ブッダは云った、「良馬が鞭の影を見た途端走り出すようなものだ」。
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? 黙、に目を向けるのではない。
   ほとけは坐る、語らず、
  土の上か、床の上か、
  地球が支える。
  地球は太陽系恒星が支え、銀河が支え、宇宙が支える。
  その黙の姿が、宇宙である。