碧巌録(へきがんろく)  第33則? 陳操看資福   

挙(こ)す
陳操尚書、資福に見ゆ。
福、来たるを見て、便(すなわ)ち一円相を画(か)く。
操云(いわ)く、「弟子、恁麼(いんも)に来たるすら、すでに便を得ざるに、何ぞいわんや更に一円相(いちえんそう)を画くとは」。
福、便ち方丈(ほうじょう)の門を掩却(とざ)す。

雪竇云く、「陳操只(た)だ、一隻眼(いっせきげん)を具す」。
?
注:
陳操尚書:臨済の先輩であった睦州(780?〜877?)の法を嗣いだ大居士。尚書は長官クラスの地位に対する役職名。
資福:資福:江西省吉州の資福寺に住した如宝禅師。イ仰宗の仰山慧寂の孫弟子。

一隻眼(いっせきげん):坐禅修行によって得られる常人を超えた第三の眼。
一円相(いちえんそう):本来の面目、仏性、などを円形で象徴的に表現したもの。南陽慧忠国師(645〜775)が元祖だとされる。
 
ある時、陳操尚書が資福寺を訪れた。
資福は陳操が来たのを見て、空中に一円相を画いた。
陳操は云った、「私は今来たばかりで、まだ挨拶もしていません。それなのに、私を試すかのように、いきなり一円相を画くとは何事なのですか」。
資福は陳操に一円相を画いて、これが分かりますかと、日頃ぼんやりと見える陳操の禅の力量を試そうとしたが、見破られてしまった。
そこで資福はきまりが悪いのか自分の部屋に入り戸を閉めて引きこもってしまった。
雪竇はコメントして云った、「陳操は常人を越えた眼を持っている」。  』


ずいぶん前から A ちゃんは、〇 とは画かず、◎ と画く。