>>274の続き

【2022/11/17(木) 】
最悪の結果を招いた「上の指示」 沖縄の高校生失明、当時「署はピリピリしていた」


 1月27日未明。沖縄市宮里の路上で、沖縄署に所属していた男性巡査(30)は職務質問のため、バイクを停止させようと伸ばした警棒を右手に持ち、左手で運転手につかみかかった。
 その結果、バイクを運転していた男子高校生(17)は右目を失明した。
 なぜこうした事態を招いたのか。

 「事件発生時、上からは警棒を伸ばした状態で警ら(巡回)に当たるよう指示があった」。当時の捜査関係者の一人はこう明かす。

 事件発生の前日、暴走バイクに乗っていた若者らが警戒中のパトカーにのぼりをぶつける事案があった。

 通常は警棒を伸ばした状態で巡回はしないというが、「暴走族警戒のために署はかなりピリピリしていた」と振り返る。

 事件発生時、男性巡査はバイクが集団で暴走しているとの通報を受け、伸縮式の警棒を伸ばした状態で巡回。

 だが、高校生は暴走していなかった。


 暴走族警戒の態勢を強めた状況下で起きた事件だったが、「上の指示で高校生を失明させるという最悪の結果を招いた」(当時の捜査関係者)


 ■「不適正な職務執行」と判断

 捜査には9カ月を要した。
 県警は男性巡査を特別公務員暴行陵虐致傷の疑いで11月2日に那覇地検に書類送検した。

 事件発生当初、高校生は「警察官に警棒で殴られた」と話す一方、男性巡査は「向かってきたバイクを止めようと、警棒を持つ腕を伸ばしたら当たった」と説明。食い違いが生じていた。
 県警は1対1の事案で目撃者もいないことから「困難な捜査」と位置付けた。


 複数の第三者による専門家の意見も聴取。
 捜査幹部は「衝撃の強さや傷の深さ、警棒が当たった角度などあらゆる捜査を尽くした」と明かす。

 積み重ねた客観証拠と専門家の意見を踏まえ、一定の速度で向かってくるバイクを止めようとつかみかかる行為自体が「故意の暴行」に当たると判断。
 その一連の行為を「不適正な職務執行だった」(県警)とした。