【番外編】
「『任意でしょ?』という断り文句には慣れています」 元警察官が教える職務質問のウラ側


●まず知っておくべき、職務質問の基本

 「職務質問」は、警察官に許されている「停止」と「質問」を主体とした活動です。
 警察官職務執行法第2条1項によると、警察官は、異常な挙動や周囲の事情から合理的に判断して、次のような相手を停止させ、質問することができます。

・何らかの罪を犯した、もしくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者
・すでにおこなわれている犯罪について、もしくは犯罪がおこなわれようとしていることについて知っていると認められる者

簡単にいえば、警察官が「怪しい」と感じた相手には足を止めさせて質問できるという権利です。
 ただし、認められているのは「停止させて質問できる」というところまでで、無理やりその場にとどめる、質問に答えるまでは帰さないといった処分までは許されていません。

 いくら怪しい点があったとしても、相手の自由を強制的に制限するには裁判官が発付した令状が必要です。

 相手の肩をつかんで呼び止めるといった質問を継続するための必要最小限の有形力は行使できますが、逃げられないように腕を強くつかんだり、大勢の警察官で取り囲んだりする行為は許されません。
 もちろん、勝手にカバンやズボンのポケットに手を突っ込んで中身を調べたり、持ち物を取り上げたりするのも違法です。


●職務質問は「任意」というワードひとつで拒否できるのか?

 職務質問は「強制」ではありません。あくまでも一般市民の方の協力によって成り立っている「任意」の警察活動なので、拒否は可能です。

 ネット上には「職務質問を拒否する方法」といった情報があふれています。そのなかで必ずと言ってもいいほどよく見かけるのが「職務質問は任意でしょ?それなら応じません」という断り文句です。

 YouTubeなどでは「任意」というパワーワードを前面に押し出して警察官と押し問答を繰り返す様子が紹介されています。
 実はこの対処法はあまりおすすめできません。