>>179の続き

 <事故の状況>
・右ボンネットに擦過痕、車体右前部、右ドアミラー、右前タイヤに損傷が認められる。
 車と遺体の損傷状況から被害者は右→左へと歩いていた。

 ・防犯カメラ(現場手前の会社事務所のもの)の解析結果報告書によると、ブレーキランプが点灯する直前に時速115キロで走行していたことが判明。

 ・115キロとは思っていなかった。(模擬車両による実験結果を受け)時速40〜60キロなら停止できた。

 ・警察官なのに死亡事故を起こしてしまったのは恥ずかしい。警察への信頼を裏切ってしまった。


■ 「謝罪など来てほしくない。もう会いたくない」

 この日の法廷では被告の父親も証言台に立ち、被害者への謝罪の言葉を述べ、自身も元刑事だった立場から、以下のように語りました。

 大谷さんのメモから抜粋します。

 「警察官は法を守ることを特に求められる立場。不祥事で辞めていく同僚を多く見てきたので、そのことは常に話していた。交通事故の話もしていた。それなのに大幅なスピードオーバーをした。強行犯担当で仕事は忙しかった。早く帰りたい気持ちはわかる気もするが、身重の妻がいたとはいえ、自己中心的な考えが強すぎたように思う。十分反省、償いをし、法の裁きを受けたなら、その後は社会に役立つ仕事をして欲しい。次に続くようにサポートしたい」

 一方、被害者の遺族によれば、亡くなった女性は娘さんの家にほぼ毎日足を運び、いろいろと世話をしていたそうです。高齢ではありましたが杖などは使っておらず、足腰は強かったとのこと。

 それでも、被害女性はあの道を渡りきることができませんでした。まさか、制限速度の3倍近い高速度で車が突っ込んでくるとは想像もできなかったはずです。どれほどの恐怖だったことでしょうか。

 遺族は被告に対して、「謝罪など来てほしくない。もう会いたくない」そう述べているといいます。