群馬県前橋市は3日、市内の40代の男性が腸管出血性大腸菌O-157に感染し、尿毒症を悪化させて死亡したと発表した。

前橋市によると、この男性は8月30日の朝から激しい下痢を発症し、夜になって血便を確認したため医療機関を受診。

症状が改善しないので入院して治療を受けていたが、先月5日、急性腎不全や血小板が減少するなど溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こした。

今月1日に病状が急変し、死亡したという。

前橋市では、総菜店「でりしゃす」が販売した惣菜を食べた3歳の女の子がO-157に感染して先月死亡しているが、今回の患者から検出されたベロ毒素の遺伝型とは異なっており、感染経路は特定できないという。

O-157はベロ毒素を作る大腸菌で、重症化するとHUSのほか、腎臓の機能や脳症など後遺症が残ることがあり、1996年に大阪・堺市で9000人以上が感染した集団食中毒では、3人が死亡したほか、当時小学1年生だった女の子が、19年後に後遺症が原因で亡くなっている。

夏から秋にかけては食中毒が起こりやすい季節だが、なかでもO-157の感染力はずば抜けて強く、菌が100個程度、体内に入っただけでも発症する(ほとんどの食中毒菌は100万個以上で発症することが多い)。

国立感染症研究所によると、今年は7月24日〜9月27日(第30〜38週)にかけて、O-157を含む腸管出血性大腸菌を発症する患者数が急増している。

菌は熱に弱いので、「75℃で1分以上」加熱すれば死滅するが、ハンバーグやメンチカツなどのひき肉料理などの場合は、中心部まで火が通っていないと、生き残った微生物にとってはちょうど暮らしやすい温度になるため、かえって増殖を招く結果に繋がるため要注意だ。

【日時】2017年10月04日 09:48
【提供】ハザードラボ