また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて、同四一四条、三九六条、一八一条により主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官藤田八郎、同入江俊郎、同奥野健一の補足意見及び裁判官池田
克、同河村大助の少数意見があるほか、裁判官全員一致の意見によるものである。
 裁判官藤田八郎の補足意見は次のとおりである。
 自分は、入江裁判官の補足意見に同調する。ただ少しばかり自分の意見を附加し
たい。
 法令の公布があつたと見るべき時期については、入江裁判官の挙げた(1)ない
し(4)の考え方の外に、日本国憲法七条は、法律、政令の公布をもつて、天皇の
国事行為としているところから、天皇の国事行為たる公布の完了したときをもつて、
公布のあつたときと解する考え方もあるかも知れない。