>>343

「情報提供者にとってはどういう旨味があったのでしょう?」どれくらいの金額が支払われていたか興味があった。
「哀れなくらいでしたね …… 」
「そういう条件でどうして彼らは情報提供者となったのでしょうか?」
「・・・・そうすることで自分が何者かであると思えたんじゃないでしょうか・・・・自分は他の人間とは違うんだと思えたのではないでしょうか。」
―裏切りそのものが報酬だったのだ― 誰かより上にいる自分を感じられるという小さくて根深い人間の満足感。愛人のようなこの心理を東ドイツ政権は利用してい
たのだ。

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