公安警察無政府状態(犯罪が日常的に行なわれるに至った)制度上の理由

 戦後保守政権が意図した、自由な社会を守る為の必要悪として非合法活動を行う超法規的権限を
公安警察に付与するのであるならば、その活動は厳重に管理(*)されなければならない。しかし
わが国にはその制度が存在しない。国家自ら憲法を否定する事に国民の賛同が得られるはずは無く
その為の制度など持ちようが無いからである。「厳重に管理されている」と言うのは、非合法活動
を行っている公安警察の言によるしかない。公安警察による「厳重な管理」とは、行った犯罪を隠
し通すことでしかない。したがって、必然的に公安の活動は管理不能の無政府状態となる。これが
その後、公安警察による犯罪が日常的に行なわれるに至った制度上の理由である。
「自由な社会を転覆する自由を制限」する方法は、例外なく法治主義をもって行なわれなければ
ならず、法治主義をもって足りる。わが国では、国家自体が公安警察により法治主義、民主主義、
国民主権という憲法上の大原則を否定している。
「自由な社会を転覆する自由」とは結局のところ「犯罪を行う自由」でしかなく、それが自由に
含まれるはずがない。「犯罪を行う自由」を制限するのが法治主義であり、これを「自由な社会
を守る為に必要があれば法の外に出て活動する」と言う非合法活動を行う論理の誤りは一目瞭然
である。これは公安警察が犯罪を行うことを正当化するための詭弁に過ぎない。どのような詭弁
を弄しても犯罪は正当化できるものでは無い。

 厳重に管理(*)
 議会内での審査、第三者機関による管理などがある。主要先進国では公安警察に類する機関に
対しては大概、何らかの民主的管理が行われているが、日本ではそれに当るものがまったく無い。
これは、何の根拠も無しに初めから活動に憲法に反した超法規的特権を付与してしまった為に
内容を隠し通す以外に管理の手立てが無くなってしまったものと考えられる。その上、歴代政権
はこの制度的欠陥を放置したまま、罪深き活動を管理する事から逃亡し、それを警察自身に丸投
げし警察の内部を覗く事もタブーとして扱って来た。