第5 他法他施策の活用

(問5-1) 年金の繰上げ受給
老齢基礎年金の受給資格を満たしている60歳以上65歳未満の者は、 繰上げ支給を請求できることとなっているが、
他法活用の点から繰上げ支 給の請求について指導を行うべきか。

保護は、「利用し得る資産、能力その他あらゆるもの」を活用することを要件として行われることになっている。
その意味では、繰上げ支給の申請を行えば受給が可能となる年金についても、活用を求める対象と考えることができる。

しかし、繰上げ支給される年金は、満65歳になってから支給されるはずの年金額が減額されて支給されるものであり、
被(要)保護者の今後の自立を展望すれば好ましいものではない。
また、年金受給者の中で、繰上げ支給を受けることが一般的な例になっているとは言えず、
福祉事務所の指導をもって繰上げ支給の請求を行わせることには問題が多い。

したがって、本人の純然たる希望により請求する場合の他は、繰上げ支給の請求の必要はないものである。
また、たとえ減額されることになるとはいえ、その繰上げ支給される年金を得ると保護の要否判定上保護が否となるような場合においても、
繰上げ支給を請求するか否かは、あくまでも本人の選択に委ねるべきである。

なお、満66歳以後に繰り下げて増額された年金を受給しようとすることは、生活保護制度の中では認められない。