2013年12月、電波干渉計を用いて、新星に変わろうとする恒星を観察可能となった。これによって、高エネルギー電磁放射であるガンマ線が生まれる謎が解明されることになる。

 英マンチェスター大学のティム・オブライエン氏によれば、連星系において伴星からのガスが白色矮星の表面に降り注ぐと新星が発生する。これによって恒星表面に熱核爆発を引き起こし、時速数百万kmの
速度でガスを吹き飛ばす。噴出したガスは恒星の軌道面に沿って猛スピードで移動する。白色矮星から吹き出た粒子の外側は高速で移動しているが、しばらくする
とより速度の遅い物質と衝突し始める。その結果生じた衝撃によって粒子が加速し、ガンマ線を生み出すに至るのだ。


6. 月の裏側にウサギがいない理由
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 1959年、ソ連の宇宙船ルナ3号によって月の裏側の様子が明らかとなった。そこにはクレーターと山がパッチワーク状に連なっていたが、海(玄武岩の平らな暗い領域)
がほとんど存在していなかった。この謎を解明したと主張するのが米ペンシルバニア州立大学の研究チームである。同チームによれば、この原因はアルミニウムとカルシウムが蓄積された厚い地殻にあるらしい。

 ある理論では、かつて火星ほどの大きさの小惑星が地球に衝突したとき吹き飛んだ破片が、やがて月を形成したと説明している。しかし、地球と月の間に自転と公転の同期が発生し、月の一方が常にドロドロに溶けた地球に面するようになった。
このため地球側の月の表面は熱を保った一方、反対側は徐々に冷えていった。これが月の裏側に分厚い地殻ができた理由である。研究チームによれば、この厚い地殻が玄武岩のマグマが表面に噴出することを防いだらしいのだ。そして、メテオロイドは地球側のより薄い地殻に穴を
開け、表面に噴出した。これが月に海を形成し、地球からウサギが餅をついているかのように見えるそうだ。

 しかし、最新の調査結果から、月面のウサギは内部からのマグマの噴煙によって形成されたもので、小惑星の衝突が原因ではないと主張する研究者もいる。真偽が明らかとなるには、更なる研究が必要そうだ。


5. 宇宙に遍在する光の正体
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 よく晴れた夜、空を眺めれば、そこには無数の星々が輝いているだろう。小口径の望遠鏡であっても惑星や銀河などがしっかりと確認できる。だがX線検出器があれ
ば、夜空がぼんやりと輝いていることが判るだろう。これは宇宙X線背景放射と呼ばれている。この起源は長い間謎であった。

 しかし、NASAの探査機による調査で、そのほとんどは地球から数百光年離れた場所にある熱いガスに由来し、その残り(40%未満)は太陽系内に由来することが判明した。この熱いガスは恒星風と超新星
爆発によって作られたようだ。また、太陽系内に由来するX線は、太陽風が中性水素とヘリウムに衝突した際に放出される。