たばこと肺がんの因果関係「男性の6割近くが無関係」と識者│NEWSポストセブン
http://www.news-postseven.com/archives/20131018_222837.html

「イギリスは肺がんによる死亡者数は10万人あたり721人ですが、イギリスと同じくらいの喫煙率であるフランスの肺がん死は386人と約半分。
イギリスやドイツ、ロシアといった北にある国々が喫煙率に対して肺がん死が多い傾向があることが分かります。
この原因はさまざま考えられます。車の排気ガスによる大気汚染や、断熱材を使った建造物から出るアスベスト粉塵、暖炉やストーブを焚くことによる室内環境の悪さ……。
たばこだけを悪者にすることによって、それ以外の肺がんの主たる要因を見逃しているのです。この責任は一体誰が取ってくれるのでしょうか」
日本も決して例外ではない。1960年代後半に83%以上いた男性の喫煙率は、現在半分以下の40%を切っている。
その反面、肺がんの死亡者数は右肩上がりで年間6〜7万人にまで膨れ上がっているのだ。武田氏が続ける。
「肺がんの中でも、喫煙と関係が深いとされているのは肺の入り口に近い部分にできる『扁平上皮がん』です。
しかし、このがんは肺がん全体の25〜30%しか占めておらず、転移が遅く、早期発見なら治療の可能性も高い。
かたや、最近では男性の肺がんの6割近くは、肺の末梢部分にでき、たばことはあまり関係のない『腺がん』なのです。この事実は医学界でも知られていることです」
ではなぜ、たばこだけが肺がんの誘発要因とされているのか。大気汚染の有害物質を調べる大学教授はこう指摘する。
「車の排気ガスやアスファルトの粉塵、工場の煤煙などに含まれるPM2.5(微小粒子状物質)は毒性が強く、
たくさん吸い込めば肺の奥まで達するために、ぜんそくや肺がんを引き起こすと見られています。
今でこそ中国から飛散するPM2.5の人体に与える健康被害が心配されていますが、これまで科学的なデータを取ってこなかったのは、
クルマ社会や工場のフル稼働によって人間が恩恵を受けてきたから。
その一方、『百害あって一利なし』といわれるたばこは禁煙運動の流れもあって槍玉に挙げやすかったのです」