いつだったか、某店での話。


野菜タワーニンニクマシコールを済ませて店内を見渡すと、
三塁側に白人の二人連れがいるのに気づいた。
二人はちょうど完食したところで、なにかヒソヒソと話し合いながらしきりに頷きあっている。
なんだろう?
そう思って見ていると、ふいに二人は立ち上がり、店主に向かって名刺を差し出し、流暢な日本語でこう言った。
「すばらしい味でした。私たちは、東京版ミシュランガイドを作成している者です。是非、この店に星を差し上げたいのですが。」
呆気にとられる店主と弟子。店内が静まり返る。
ラーメン屋がミシュランの星を取るなど、前代未聞の快挙だが…。

「…ふざけんじゃねえよ。一回食っただけで二郎の良さがわかるわけねぇだろ。」沈黙を破ったのは、ひとりのロッターだった。
「タイヤ屋に、ロットの何がわかるってんだ!ゴムでも食ってろ!」と、別のロッター。
「名刺出す前にまず会釈だろうが!」
「つーか、名刺は壁に貼るもんだろ!素人乙!」
「くだらねえグルメごっこでロット乱してるんじゃねえよ!とっとと失せろ!」
店内のロッターたちから、次々に罵声が浴びせられる。
ミシュランの二人組はワナワナと震えながら、行列に小突かれつつも店を出ていった。

二郎の旨さは、いくつ星を与えたところで表現できまい。
俺もそう思った。

だが、店主の意向くらいは聞いてあげてもいいんじゃないのか、とも思った。

調査員連合からの要求一覧

環境面
・ローテは余程のことが無い限り1-1。人がどうしても足りない時だけ1000円アップの2-1もしょうがなし
・地点への車での移動は基本。1km近く歩かせる会社なんてその時点で全員バックレられても文句は言えず
・近くのオススメの休憩場所のピックアップしておいて、徒歩10分圏内に安く飯を食える場所がなければ500円の弁当くらい用意する
・少人数調査なら夜はワゴン車を休憩場所として開放するのは当然
・渋滞長調査員の休憩用の椅子がないのは何故だ、用意しろ

待遇面
・24Hの深夜手当付けろカス
・24Hは30000、12Hは15000という時代があったはずだ。戻せ
・あまりに僻地の駅集合の時は前泊費や交通費くらい補助しろ

技術面
・地点全部どころか参加者全員にIphoneのタブレット支給、カウンターで打ってそれを入力
・椅子は牛革張り
・機材を入れるバッグはサムソナイト
・渋滞長の腕章にはGPSをつけ、測定器を使い一瞬で距離を測定


これらの要求が呑めない調査会社は調査員の集中力を保つ努力を放棄したとみなし
こちらもその調査結果の正確性に一切の保証はしないことを国土交通省以下各省庁に宣言する