>>988のつづき

4時間余り歩いて自宅に着いた時には、
靴擦れで足が痛かった。
すぐにシャワーを浴びて、
CNNの生放送をテレビで観た。
翌日の朝早く、
勤めていた会社に連絡すると、
課長が電話に出た。
男性社員は全員出社してくださいとの事だった。
当時俺はマンハッタンの日系企業で働いていた。
日系企業は容赦無い。
同時多発テロの翌日でも休めない。
通勤しろと言っても、
バスも電車も動いていない。
NY市長はライドシェアリングを推薦していた。
マンハッタンに車で乗り入れるには、
車内が4人以下での通行が禁止された。
強制カーシェアリングだ。
橋の近くに行くと車が人を待っている。
4人以下だと警官が通行許可を出さないのだ。
行きも帰りもヒッチハイクだ。
ニューヨーカーは助け合った。
会社に行ってもこれと言ってする事もない。
顧客への説明が中心だ。
客の多くが在米日本人だったので、
一日中電話で日本語で喋っていた。
不安だから用もないのに電話をかけてくるのだ。
精神科のカウンセラーになった様な気分だった。
日系企業にはそう言うきゃくもおおい