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わが愛しの百恵ちゃんへ

今ぼくの目の前には東宝のカレンダーがぶら下がっている。
その一面に百恵ちゃんがニッコリ笑ってるだろ。僕はそれを見ながらゴキゲンでこの手紙を書いています。

百恵ちゃんはぼくの名前を覚えてるでしょ。
だってわが家の応接室にはちゃんと横溝正史先生へと書いた百恵ちゃんのサイン入りの色紙が二枚飾ってあるよ。
あの時は本当にどうもありがとう。
さっそくお礼状を差し上げるべきところぼくは年寄りのくせにテレ屋さんで、とうとう礼状を出しそびれてしまった。
ゴメンナサイネ。

中略

僕はいま谷崎潤一郎先生に猛烈に嫉妬しているよ。
だって百恵ちゃんが春琴をやるんだもん。
ぼくの小説もちかごろちょくちょく映画になるが、百恵ちゃんにも出てもらえたらなぁと思っているよ。
だけどこれはちょっと無理だね。
ぼくの小説はみんなオドロオドロしいものばかり、
百恵ちゃんのイメージとあまりにかけ離れているもんね。
まぁ、片思いで我慢するよ。