>>354続き
第5部…大村雅朗の若すぎる突然の死と相まって、新たな流行の誕生、世代交代など、日本の音楽業界は激しい変化の波に見まわれた。
同然ミリもその波に飲まれてゆく。今まで全力で突っ走ってきたシンガー人生であったが、ここらでペースを落とし、否が応でも音楽とは別にした自分自身の人生を見つめ直さざるを得なくなる。
友人を見渡せば、「普通に」家庭を築き、「普通に」人生を送っている。では、自分はどうか…言葉にできない。

他人の曲をあまり聴いたことのないミリであったが、オフコースだけは学生時代に愛聴していた。
あの時聴いた「言葉にできない」が、今のミリの心そのものを表すように、心に甦った。
ミリは初めてカバー曲をCDに吹き込んだ。ほとんど誰もが知らない曲だった。