'87年のアルバム「リクエスト」のコンセプトのひとつに、
「他人に書いた作品を自分で歌う」というのがあり、
「けんかをやめて」「元気を出して」などと同じく、
この作品も、もともとは、さる有名アイドル・シンガーのために書かれたものである。
まりやは当初、この曲を自分で歌う事に難色を示していた。
マイナー・メロの「歌謡曲的」なアプローチだからというのがその理由だったのだが、
歌謡曲とそれ程縁のない(?)私の耳には、この曲はどちらかといえばイタリア風に聞こえたし、
また、そのアイドル・シンガーがこの曲に対して示した解釈のひどさに、
かなり憤慨していた事もあって、是非とも自分の手でアレンジしてみたいという誘惑にかられ、
彼女を説得してレコーディングまでこぎつけた。
その後このヴァージョンは有線放送で1位になるなど、
今では竹内まりやの代表作のひとつとなっている。メデタシ、メデタシ。
                              山下達郎(1994年5月10日記)