1980年頃までは松山千春と中島みゆきは同じ北海道出身ということで括られたり、当人も
交流があったようだが。

 だが実は中島の方は北海道にたいする想いは「異国」とか「ホームにて」に出ているように、
故郷というよりは異国。まだ自分には故郷はない。故郷とは帰るものではなく、いつか出会える
と信じるもの。という意識が強い。

 「時代」の歌詞をよくよく辿るとそこには《旅を続ける人々は/いつか故郷にである日を/
たとえ今夜は倒れても/きっと信じてドアを出る》とある。みゆきにとって故郷とは、「帰るもの」
ではなく「いつか出会うもの」。

 そこで北海道への故郷意識が強い松山とは明確な一線を画している。

 ここは中島みゆきを誤解し易いところで、いまだに誤解しているリスナーもいるはずである。
しかし中島みゆきはそういう「故郷へ帰る」ことを熱望する作家ではない。故郷とは、
「いつか巡り合うと信じるもの」だから。