かねがね俺が指摘しているように、種ともこは先ず第一に20世紀〜21世紀を代表する
大変なメロディーメーカーの一人であることを忘れてはいけない。

そして多分そのことを本人も明確に自覚したんだろう、前作あたりから、
メロディーやサウンドの多様化の方向に、アルバム制作のベクトルが向いているのは明らか。
だから歌詞は、彼女がサラっと趣味的に言葉遊びをするように、
メロディーを修飾するだけの立場に置かれていると理解すべき。

従って先ず1000回くらい聴いて、メロディーの美、サウンドの妙を深く味わい尽くした後、
ようやく歌詞をチラっと確認するくらいの聴き方が正しいだろう。

意味性だのメッセージ性だのを読み取ろうとするのも、聞き手の趣味のうちではあるが、
その努力が報われないからといって、作品に不敬な言葉を投げつけるようでは、
ゆとり世代の脊髄反射と同じで、未熟者との謗りを受けても致し方あるまい。