林:そうかもしれないけど……。石井さんのそういうキャラクターって、メジャーリーグではどう思われてたんですか。
アメリカの人って、闘争心がすごそうじゃないですか。

石井:基本、僕に対する評価は日本と一緒でしたね。ボーッとしてるな、みたいな(笑)。

林:イチローさんみたいにストイックな人を見ると、まったく別世界の人という感じですか。

石井:真逆だと思いますね。僕とは野球へのアプローチの仕方が違う。

林:内心「気取っちゃって」と思ったりとか?(笑)

石井:イチローだけじゃなくて、野球に人生を捧げてる人たちって大変だろうなと思いますね。
「もうちょっとラクにやれば?」と思っちゃうんですけど、それはその人のやり方だから批判もしないし、
うらやましいとも思わないです。僕は自分の生き方がいちばん合ってるんで、あんなふうに一生懸命になっちゃったら、
うまくいかないと思います。たとえば試合中、監督に「まだいけるか」と聞かれたら、「いけます」と答えるのがふつうで、
監督も「いけません」という答えが返ってくるとは想像してないんですよ。

林:石井さんは「いけません。疲れました」って言っちゃうんですか。

石井:はい。疲労困憊(こんぱい)してるのに「いけます」って答えるのは、違うと思うんです。
そんなところで“オトコ気”を出したって、その積み重ねでケガをして次の年1試合も投げれなかったら、
みんなその人の存在を忘れちゃうんです。オトコ気出す人は、選手として短命なんです。

林:なるほど。

石井:毎年コンスタントにやっていくほうがいいと思うんですよね。