>>500のつづき
『眼鏡っ娘有希』
 祭り会場をひとまわりして帰宅した有希と母は、夕食にはまだ早い時間なので、温泉浴場へ行くことにした。母の運転する車で10分足らずで到着した。
入浴後に、脱衣場でバスタオルに身を包んで、ドアイアーで髪を乾かしていると、有希に声かける者がいた。有希は入浴時はメガネが外していて、脱衣場でも
まだメガネをかけていなかったので、目を細めて声がする方を見た。その人は有希に近づいてきた。叔母(母の妹)だった。
 叔母「有希ちゃんたちも来ていたのね。身体つきが大人っぽくなって誰かと思ったわ。」
 有希「ワタシこそ目が悪くて、気づかなくてすみません。」
 叔母「メガネの有希ちゃんが良いけど、素顔もいいわね。」
 有希「ワタシ、ドライアイだからコンタクトができなくて、いつもメガネばっかりだわ。メガネも最近変えたの。」
 叔母「あら、そうなの? どんなメガネかしら?」
有希はメガネをかけて
 有希「これよ。どう似合うかしら?」
 叔母「それ、有希ちゃんによく似合っているわ。有希ちゃんはやっぱりメガネがいいわ。」 
温泉浴場から帰ると、夕食にした。
 母 「お父さんは今晩お祭りの飲み会だし、貴弘(有希の兄)は今月から東京の大学だし、有希と二人で祭りの笹寿司と赤飯、皿の食べ物で夕食にしようね。」
有希と母は食べ始めた。
 母 「有希はよく食べるようになったわね。去年の春に盲腸の手術をしてからかしら?」
 有希「盲腸で、お腹切られて痛かったわ。食事制限が解かれてから、腹ぺこだった反動から食べるようになったわ。」
 母 「あの時は、こんなに食べて盲腸の傷跡が大丈夫かと思ったくらいよ。でも、それから体調が良くなったじゃないの。体重もふえて…」
 有希「声がよく出るようになったし、高校の部活は合唱部にしたのよ。」
(つづく)